2018年10月16日火曜日

数え唄。



ひんやりした風とともに

秋を楽しむ間もなく一気に冬になってしまいそうな


ある日の京都駅。


お店は数あれど、ちょうどお昼時ということもあり

昼ごはん難民になってしまった。


ふらふら彷徨ってやっと入れそうなところを発見





店先で食券を買ってから入るスタイルだが立ち食いではない




物の鶏卵カレーうどんにしてみた


名物のうどん


それは


胃がビックリするカレーうどんであった。



胃がビックリするとどうなるかと言うと

箸がすすまなくなる

美味しいのでもっと食べたいとは思うけれど


箸が止まる。


鶏卵うどんの時点でかなりのアツアツ

さらに舌を刺す系のカレー味


見た目とは裏腹にかなり刺激的なお味なので


「ツンデレうどん」

と名付けた。


なんとか堪えてうどんを啜りたくもなるのだけれど

如何せん、カレーうどんは飛び散ってしまうので

汚さないようにそーっと食べる。



そこへ

隣の席に座ったボサボサ頭のおじさん

なりふり構わず汗だくでにカレーを食べる。


ジャージの短パンにカレーの汁がポタポタ

顔から汗がポタポタ

決して美しくはないけれど


でも


ウマそうに食べていた。


うどんというのはある種の勢いが必要なのだ


それは、すするための勢いだけれど

カレーうどんになると、さらに勢いが必要なのです


まるで

冷めたらうどんが爆発するかのような危機感を持って

貪るように食らいつく


そう


そうだ


それがカレーうどんなんだ、、、!!!




まだふた口しか食べてない僕は


完食できるのだろうか


ええ?!

あの山の頂上まで登るんですか?

歩いても歩いても、いつまでも近づいて来ないんですけど、、、

っていうくらい大きな山に挑んでいるようだ。



そんなことを考えていたら汗だくおじさんとは反対側の席に

女性が座った。


こちらは鶏卵カレーうどんと


生ビール。


ああ、、、

お姉さん、それ辛いよ〜

と言ってあげたかったけれど


まず生ビールを流し込んでから

ズルズルとカレーうどんを啜り出した


なるほど。


実に男前だ

カッコいい

そういうのもアリなのか


カレーうどんと生ビール



姉さん、粋だねぇ



感心してもう一口うどんを啜って

胃がビックリして、休憩して


僕が五口目を食べる頃には、後から来たボサボサおじさんと

ビールうどん姉さんもいなくなっていた


みんな


早いねえ。


そういえば

このお店はつい最近まで無かった気がするから


わりと新しいのだろうけれど

これから沢山の人がカレーをこぼし

汗をかいて、たまに僕みたいに胃がビックリして

店を出てゆくのだろう


何年も何年も

何人も何人も

そしていつかはこの店も違う何かに変わるのだろう


あの日あの店で

僕の両隣に座った二人のことなんて

誰も思い出さない

店員ですらも、思い出さない


僕の胃がビックリしてたことなんて

当然、誰も知らない

給食を食べ終わらない子供のように

いつまでもチミチミ食べていた変な客のことであっても

店員ですら思い出さない。


なんだか切ないねぇ〜


カレーうどんは涙脆くなるからいけねぇ



どうして江戸っ子?


鶏卵が入ったカレーうどんは

人を江戸っ子にするんだよ。

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