ひんやりした風とともに
秋を楽しむ間もなく一気に冬になってしまいそうな
ある日の京都駅。
お店は数あれど、ちょうどお昼時ということもあり
昼ごはん難民になってしまった。
ふらふら彷徨ってやっと入れそうなところを発見
店先で食券を買ってから入るスタイルだが立ち食いではない
名物の鶏卵カレーうどんにしてみた
名物のうどん
それは
胃がビックリするカレーうどんであった。
胃がビックリするとどうなるかと言うと
箸がすすまなくなる
美味しいのでもっと食べたいとは思うけれど
箸が止まる。
鶏卵うどんの時点でかなりのアツアツ
さらに舌を刺す系のカレー味
見た目とは裏腹にかなり刺激的なお味なので
「ツンデレうどん」
と名付けた。
なんとか堪えてうどんを啜りたくもなるのだけれど
如何せん、カレーうどんは飛び散ってしまうので
汚さないようにそーっと食べる。
と
そこへ
隣の席に座ったボサボサ頭のおじさん
なりふり構わず汗だくでにカレーを食べる。
ジャージの短パンにカレーの汁がポタポタ
顔から汗がポタポタ
決して美しくはないけれど
でも
ウマそうに食べていた。
うどんというのはある種の勢いが必要なのだ
それは、すするための勢いだけれど
カレーうどんになると、さらに勢いが必要なのです
まるで
冷めたらうどんが爆発するかのような危機感を持って
貪るように食らいつく
そう
そうだ
それがカレーうどんなんだ、、、!!!
と
まだふた口しか食べてない僕は
完食できるのだろうか
ええ?!
あの山の頂上まで登るんですか?
歩いても歩いても、いつまでも近づいて来ないんですけど、、、
っていうくらい大きな山に挑んでいるようだ。
そんなことを考えていたら汗だくおじさんとは反対側の席に
女性が座った。
こちらは鶏卵カレーうどんと
生ビール。
ああ、、、
お姉さん、それ辛いよ〜
と言ってあげたかったけれど
まず生ビールを流し込んでから
ズルズルとカレーうどんを啜り出した
なるほど。
実に男前だ
カッコいい
そういうのもアリなのか
カレーうどんと生ビール
姉さん、粋だねぇ
と
感心してもう一口うどんを啜って
胃がビックリして、休憩して
僕が五口目を食べる頃には、後から来たボサボサおじさんと
ビールうどん姉さんもいなくなっていた
みんな
早いねえ。
そういえば
このお店はつい最近まで無かった気がするから
わりと新しいのだろうけれど
これから沢山の人がカレーをこぼし
汗をかいて、たまに僕みたいに胃がビックリして
店を出てゆくのだろう
何年も何年も
何人も何人も
そしていつかはこの店も違う何かに変わるのだろう
あの日あの店で
僕の両隣に座った二人のことなんて
誰も思い出さない
店員ですらも、思い出さない
僕の胃がビックリしてたことなんて
当然、誰も知らない
給食を食べ終わらない子供のように
いつまでもチミチミ食べていた変な客のことであっても
店員ですら思い出さない。
なんだか切ないねぇ〜
カレーうどんは涙脆くなるからいけねぇ
どうして江戸っ子?
鶏卵が入ったカレーうどんは
人を江戸っ子にするんだよ。
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