2018年8月28日火曜日

うどんさま。


台風の木曜日


朝から大阪でのレッスンを終えて京都へ移動。


市バスへ乗るために京都駅の改札を出ると

外国人の観光客でごった返していた


目の前のヨーロッパ系と思われるカップルの女性の方が

青い折りたたみ傘を落として気付かず歩いていくので


傘ー!!

と思いきり日本語で言ったもので

Ha〜?!

みたいな顔をされたけど

拾って渡すと


Oh...A,Ari...


きっと

「ありがとう」って言いたいんだろうなあと思ったけれど

咄嗟に外国の言葉がなかなか出てこないのってみんな同じなんだなって。


それでもなんとかなるものですよ

人間同士だもの。


そんな事を考えていたら不意にアナウンスが流れる

「台風の影響を考慮して本日の米原方面の最終電車は15:37です」

その時の時間が14:30。

レッスンを終えたら16:00なので困惑

参ったな、、、

そしてそのあとは近江八幡で19:00からレッスン


全てをキャンセルしてすぐにホームへ引き返して電車に乗れば帰れる

どうしたものか迷ったけれど、台風のせいかフワフワしていて

悩んだ末

約束なんだから行かなければ、、、!!



妙な信念が芽生えてきた


市バスに乗って無事にレッスンを終えたらまた市バスに乗り

二条駅から地下鉄で京阪三条へ、そして京阪で浜大津。


浜大津駅に着くと駅前のレンタカー屋さんで車がないか聞いてみる

それで全て出払っていたら近江八幡のレッスンはキャンセルしようと思っていた。


そしたら

「フィットなら一台ありますが」

おお、、、

じゃ、じゃあそれで、、、




目の覚めるような青色のフィットの申し込みを済ませると

最後に値段を聞いてビックリ


うわ〜思ってたより高い、、、

いつも借りるより高い、、、


赤字(涙)


自分の判断になんとも納得がいかないまま近江八幡へ。


そうこうしてるうちにどんどん空模様が怪しくなってきて

これは、、、

たどり着いてちゃんと帰ってこれるのだろうか、、、

しかもレンタカーだし、なんか物とか飛んできたりして傷ついたりとか

色々考えだして、やっぱあの時京都からすぐに帰ってたほうが、、、

いやいや、もう車借りたんだからBluetoothも繋がってお気に入りの音楽を

聴きながら存分にドライブを楽しもうではないか

いやいや、しかしあの時、、、


と台風のように渦まいた堂々巡りの思考。


近江八幡について出張レッスンのマンションに着くと

いつもは出てこられない生徒さんの奥様が心配して玄関で迎えてくれた


「こんな日にすいませんねー」


いや、、、僕が無理矢理に来ただけで、、、


そんな出迎えがなんとも嬉しくて

なんだか真冬に自販機で買って飲むコーンポタージュみたいに

芯まであたたかくしてくれた。


レッスンを終えて帰り際にも

「本当に気をつけて、ありがとうございました」



奥様が見送ってくれた。


そんな心からの言葉

それだけで迷いや後悔が一気に吹き飛ぶものなんですね。


数日後の朝


電車へ乗るべく車を駐車場へ停めて駅に向かう




うどんさまは元気にしているかな、、、


台風は大丈夫だったかな、、、


駅への行き帰りはいつも挨拶しているのだ




うどんさま、今日もお疲れ様。

「おう!」


てな感じ。



しかし

あの日の朝は






うぎゃー!!!



うどんさまーー!!!


割れてないかな?!


そうっと持ちあげてみる


すると


、、、!!!



や、やわらかい?!


マシュマロのように


やわらかい、、、


くにゃっくにゃ


陶器じゃなかったのか、、、



何はともあれご無事で何より、、、


そして、うどんさまを元の場所へ戻しておいた。




「おおきにっ!」

2018年8月21日火曜日

変身。


先日


気温も湿度もぐぐっと下がった日


蝉の声が聞こえなくなり、そのかわりに鈴虫の声が聞こえてきた。


蝉も鈴虫もさぞや忙しかった事でしょう


いや


実は、鈴虫というのは蝉が化けているのではないか

抜け殻を残して、その中身は鈴虫に変身。


そうでなければ忍者屋敷の壁がクルッと回転するように入れ替われないと思う


もしくは


虫たちは土や草や木の根っこや太陽や月

遠くから運ばれてくる風の知らせなんかでちゃんと察知しているのだろう

あんなに小さくてギターも弾けないしジムにも行けないけれど。


さて


そんな夏の終わりに、暑すぎた日々の思い出をまとめておきたいと思います。


まずはなんと言っても




イオンで発見した人型定規

よく見ると、丁寧に175cmの縮尺と書いてある

僕には使い方が全くわからないし、その縮尺がどれほど重要なのかもよくわからない


そしてこの定規




高い


思わず二度見するほど。


僕はこれを見るたびに暑かった夏を思い出すでしょう



多分。



そして

映画も観ました



京都シネマにて

「フジコヘミングの時間」

どこまでも自分らしく生きること

そのように導かれた、またはそうせざるを得なかった彼女の人生。

どこまでもアートで、どこまでも人間臭いドキュメンタリー。


フジコヘミングを知っていても知らなくても

また

好きでも嫌いでも

ピアニストじゃなくても、楽器を弾かなくても

きっと

誰もがほんの少しだけ感電をするような映画。


ヒリヒリします


こちらの作品は8/24が終映日と迫っており、16:15から一日一回だけの上映。

また、写真では席がガラガラですが、開演直前には満席になりチケット売り場には

長い列もできていたので、早めに会場に行かれることをオススメします。

http://www.kyotocinema.jp/index.php



最後


琵琶湖は南端から瀬田川、宇治川へと名前を変えて南へ南へ水を運んでいきます

その川沿い、立木観音を越えたところで信号を左へ折れて向かった先は


叶 匠寿庵 寿長生の郷」





一面の梅の木

ここへは何度か訪れたことがあるけれど、今回の目的は、、、


かき氷です


使われる氷は、栃木県日光の四代目徳次郎が作る天然氷

天然氷を生産しているのは全国で五軒しかないそうです。


昔ながらの製法を用いて、12月、山の中にある採氷池に

岩肌から湧き出す清水を引き氷を作る

寒波の到来を予測し、雪が降ればやむまで氷の上に積もる雪をかき出す

それは時に夜通しになる。

自然の寒さの中でゆっくりと凍らせた氷


それはミネラルを多く含み、だけれど嫌な雑味は一切無い。

そのどこまでも透き通った味わいに、職人の一本筋の通った仕事と

妥協を許さない厳しさが垣間見える


ひとくち、ふたくちと口に運んでゆくと

日光の山奥の風景が浮かび、山間の渓流に足を浸けた時のような

心臓がドキッとするほどヒンヤリした冷たさ。


四代目徳次郎の作る氷

そこには日光の厳しい寒さと自然の恵がぎっしりと凝縮されている。





抹茶小豆やみぞれもあるけれど、僕のイチオシは自社で育てられたこの城州白梅。


こちらは16:15がラストオーダーで、かき氷の食べられる囲炉裏茶屋は

小さい店です

タイミングによっては結構並ぶので時間には余裕を持って。


ちなみにこちらは夏季限定、氷が無くなり次第終了。

9月上旬くらいまで残っているかも、との事でしたが

こればっかりは何とも言えないようですね。


四代目徳次郎
https://tokujiro-4th.com

叶 匠寿庵 寿長生の郷
http://www.sunainosato.com



この夏


結局どこにも旅には出なかったけれど

なんだか

色んな場所へ連れていってもらった気がしています。


2018年8月14日火曜日

無花果。



毎年

盆と正月には岡部家の集いがあり

年々来る人は少なくなるけれど、それでも親戚と顔を合わせて

昼間からあーだこーだ言いながらお酒を飲むのは中々に愉しい時間です。


今日もそんな風にささやかなお盆の集いでした


大体の話は

肩が痛くて上がらない

とか

姪っ子の背がまた伸びた

とか

こないだ行った宿がリーズナブルで良かった

とか

しかも飲み放題つき

とか

テレビはボクシングの会長ばっかり

とか

「絢子」が読めない、じゅんこ?

とか。


そんな話が同時に、幅1メートル長さ1メートル80ほどの

長方形の座卓の上の料理の上を飛び交う


持って来てくれた甘いドイツワインとビールを注がれるままに交互に飲み

柿の葉寿司と親戚の家の庭になったらしいイチジクを交互に食べ

姪っ子はまだ茄子の煮びたしを食べてる最中にうちのオカンから

早すぎるタイミングのチューペットを手渡され、それを片手に持ちながら

箸で茄子をつまんでいる。

350やら500やらの缶ビールがどんどんカラになり

そうこうしてるうちにグラスに残ったサッポロにアサヒがごちゃ混ぜになり


「ビールならなんでもええ」


となる。


そしてさらに進化する





それまだワイン入ってるけど、、、


と僕が言うと


「ワインとビールは合うんや」


と言ってワインのグラスにビールを注ぐ。


さらに進化する


「マッコリにもビールは合う」


となる。


さらに進化する


「日本酒とビールも合う」


それってアルコールやったらなんでもいいんやん、、、


「なんでもええ」


はあ、、、


と言うイチジクのおじさんは


終戦の年、昭和20年生まれで僕のオトンと同い年である。


その昔


中学生で下駄を履いて高校に殴り込みに行く悪ガキだった

イチジク番長は空手やボクシングを嗜み

「喧嘩せなあかんし忙しかったわ」

と言う。

卒業後は職業訓練校の自動車整備科に入り

そこでオトンと出会う


当時の職業訓練校(通称しょっくん)と言えば

それはもう、やんちゃの巣窟というか

大体がパンチパーマというか。


オトンは高校に落ちて一晩布団にくるまって泣いたらしいけれど

しょっくんに行くことにしたらしい(結局、卒業後に高校に行きなおしたそう)


「俺らが一期生やった」

「先生も初めての担任でな」

「先生が言ったわ」

「君たちが一期生だが僕たちも同じだ」

「どうぞ、お手柔らかに」


先生、怖かったろうな、、、


教室は床ではなく砂の上に机が並んでいたらしい。


16歳で車の免許を取得し、卒業すると本田技研などに就職

当時の大卒より遥かに高給取りだったそうだ。


しかし


おじさんは違った。


「君は成績も優秀」

「手を尽くしたが」

「それでも誠に残念ながら」

「君の国籍ではどこも雇ってくれない」


おじさんは韓国籍だった


それで結局、長浜の小さな町工場の整備士になった

同期が大手に就職していくのをどういう気持ちで見ていたのだろうか。


人並み、いやそれ以上に有能であったとしても立ちはだかる壁

同じ人間が作った壁。

そんな事があってかどうかは知らないが

オトンは差別解放について少なからず活動をしていたようで

時代はフォークブーム。時にはギターと歌にのせて訴えて来たようだった。

詳しいことはわからないが、全員仏教の家系ながらどこかのタイミングで

キリスト教の洗礼を受けていたらしいオトン。

そんな話、生きているときに聞いたことはなかったが

その縁もあってか、岡林信康さんや高石ともやさんとも交流があったそうだ。



酔っ払って繰り返される昔話。


はいはい、それは何度も聞きました

という話。


それでも


お?


それは知らない


というのがほんの少し混ざっている事がある。



それは


幾重にも積み上げられた地層から

ごく稀に見え隠れするキラキラしたもの。



水で洗い流し、ザルですくってほんの少し取れる砂金のように。

2018年8月7日火曜日

耳の道。



もう何度となく経験して十分に分かっているけど

部屋から出た途端に訪れるあの強烈に不快な暑さ


そしてさらに凄まじいのが


僕の車。


車内はサウナ、いや、それ以上だと思う


最近は車に乗ったら暑過ぎて鳥肌が立つ


なぜか電子レンジを思い出してしまう


暑いというより、痛い。


木とステンレスでできたハンドルなんて

握るどころかちょっと指先で触るだけで

やっぱり痛い

ちょうど電子レンジで温め過ぎたものを素手で掴む感じ

ああ

だから電子レンジが脳裏をよぎったのかな

しかもパワステではない重たいハンドルなもので(通称オモステ)

指をヤドカリみたいに動かして触れるでもなく触れながら

熱を誤魔化すようにハンドルを切る


厚めの手ぶくろを用意しよう。



さて


そんな暑い中

昨日は日曜日の真っ昼間にイオンモールに行かなくてはならず

行きは送ってもらえて良かったが帰りは歩いて帰る事に。


まあ歩いても20分くらいだろうし、ジムにもいかない日だったので

ちょっとは運動になるかなと。


最近はカナル型の耳にしっかりはめ込むイヤホンを愛用してるけれど

そうすると周りの音が全く聞こえない


イオンからの帰り

イヤホンを忘れてきた事に気づき、ちょっと呆然としたけれど

まあ、たまには良かろうと、夕刻の横顔に突き刺さる陽射しとともに


歩く


歩く


そうすると

いろんな音が聞こえてくる


蝉の声

アスファルトに擦れる靴の音

リュックの中の物が歩を進める度にカサカサ

自分の息づかい

ちょっと畦道を通ってみると

風に揺れる雑草の音がサササササと重なり合い

アスファルトとは違う

靴と土と草の饗宴


ザックザック


ザックザック


川向こうを見れば

上半身裸のおじいさんがタバコをふかして家から出てきた


何もかもが新鮮で、それはそれは心地よかった。





イヤホンをつけてると完全に自分と周りが隔離されているという事が


勿体無いと思った。


それは電車での移動であっても

その時しか出会えない即興の音楽に満ち溢れているような気がして


イヤホンで音楽を聴くのはひかえる事にした

ヨダレが出るほど退屈でない限り。


それこそ今を生きていると実感できる事だと思うから。





耳と言えば、先日いつもの美容院へ行った時


はい、これでおしまい



仕上げに切った髪の毛を払ってもらってたら


同級生の美容師の女の子が


「ん?」


「ちょっと!耳から毛が生えてるー!!」


ええーーー?!


切って!


「いやー、、、」

「うわー、めちゃ長い、、、」


それは耳の穴ではなく

耳の上のフチのところから


びよーん



4センチくらいあった


結局

ウヤムヤにされて切ってもらえないまま帰ってきたので

すぐにプチンと切ったけれど

後から

それって「宝毛」じゃないの?

と言われたりして、、、


なに、、、

タカラゲって、、、


切ってしまった、、、


ただの耳毛では、、、


ないのか?



そしてさらにちょっと衝撃的な事実があった



耳って


洗うものなの?


ドリフターズだって

「耳洗えよ!」って言わなかったし


僕は一度も洗ったことがない


「うえー!!!きたねー!!!」


と言われたけれど



みんな洗ってるのかな

だから毛が生えてきたの?

毎日洗ってるの?


どうやって?


それで、はたと気づいた。



先日ジムの風呂で歯ブラシ二刀流の人がいたけれど


あれは一本は耳用だったのかーーー!



そういうことだったのか、、、!!!


以来


耳も毎日洗うことにしましたが


心なしか耳がさらさらしてやわらかい気がしてます


ちなみに


僕はまだ初心者なので歯ブラシは10年早いかなと


もっぱら手揉み派です。